二つの公共工事――バイパスと砂防堰堤

 この写真は、国道299号滝不動と台交差点の中間地点の辺から、西武車両工場の反対側の山を撮ったものです。木が伐採されています。これは、国道299号のバイパス工事のためで、ルートに沿って帯状に伐採が行われています。


 伐採斜面に登ってみました。武蔵台から見える尾根は道なき所も含めて、大体全部登り歩いていますが、この尾根は初めてです。したがって、この角度からの車両工場の眺めも初めてで、ずいぶん広大な工場であることが分かります。
 この下を流れる川を大沢堀川といいます。水源地は多峯主山東側の山地や滝不動東の谷津などで、この二つの流れが滝不動で合流しています。
 滝不動から流れ出た川は狭い谷を流れ、巾着田に流れ込んでいます。フレンド幼稚園裏の沢も支流のひとつ。武蔵野病院の排水はこの川に放出されていますが、建設の時にこのことが問題にされました。滝不動と病院の間の国道沿い沢は、武蔵台造成からしばらくは、蛍の生息地で季節には非常にたくさんの源氏蛍が飛び交いました。
 この沢の川床がいつ頃だったか、西武の車両基地の建設に合わせてコンクリートで固められ、蛍は見られなくなりました。
 


 滝不動下流50メートルの地点からいくつかの砂防堰堤があることをご存じでしょうか。国道を車で走っていてはわかりません。電車からはチラリと見える所もあります。
 いつ頃だったかかなり前、平成の初めの頃のことです。私が仕事で一番忙しいころ、電車で東京に通う時、ちょうど今回の伐採写真を撮った地点の辺だったと思いますが、巨大な看板がかかりました。東京への通勤の方は記憶にあると思います。
 正確には覚えていませんが、砂防堰堤工事の名称と完成の暁には、こんなに素晴らしい水辺環境になるという宣伝の文句と絵が描いてあったことを覚えています。
 「こんな平坦な川で、水量も全く微々たる流れで、崩落もない斜面なのに、なぜ砂防堰堤なのか」と。毎日、電車の窓から眺めてこう思っていました。
 現在であれば即刻調べていますが、何せ帰宅したりしなかったりの仕事に追われる毎日。工事完了でバカデカイ看板も取り払われ、「なぜだ?」が頭の中に残ったまま歳月が流れました。
 それでも、川筋を歩いたりしたとき、車で国道を走る時、その時の疑問は必ず甦りはするのですが、それ以上のことはありませんでした。
 今回、伐採斜面に登ったのを機に調べてみました。