鍛冶屋の鎌

 ひのきの皮むきに新しい鎌を買ったが、実はその時、頭には「あの鎌があるな」という思いはありました。それが写真の鎌です。この他に、自分で柄をつけたあと2本あります。
 これはオークションで買いました。例のごとく農機具を見ていたら機械のラインアップにまじって出品されていました。鎌は、間に会っていましたが、ふと、東北の田舎の鍛冶屋の風景が浮かび上がってきました。赤く熱せられた鉄を叩き込んで鍛えている姿がです。
 そして時代の流れで廃業して、作業場の片隅にあった作りかけの鎌が出てきたんだな、という勝手なストーリーが出来ました。鍛冶屋の手作業の作品が、こんな安く(千数百円)で手に入るのも悪くない、と思って購入しました。
 手にしてみると、なかなかいい感触です。柔らかい草刈り用の薄鎌から山で使う雑木をきる厚鎌まで合計6本。刃をなでながら作った人を思い浮かべながら、実際に使うことを想像しました。
 ただ柄が付いていませんから、即使えません。2本の薄鎌は自分で柄を付けましたが、すぐぐらぐら動いてしまって使用に堪えません。やはり、鍛冶屋でなければ止めの輪を使った、しっかりした柄は付けられません。
 道正の銘文が入っていて、研ぎ澄まされた刃の野趣ある美しさに、このまま持っていて、時々なでればいいかと思っていました。思い出して並べてみました。