動き出した日高市総合計画2――「議決前の素案のため、非公開」!?

 総合計画の策定が、理由は分かりませんが、遅れていることを指摘してきたわけですが、12月に入っての動きは計画とどのようなずれを来たしているのか、事実関係を示しておきます。HPに掲載されていた策定スケジュールと環境団体を通じて入手した「策定スケジュール」をもとに検証してみました。

策定スケジュールの変化

1 基本構想「日高市の将来都市像」と「施策の大綱」
【庁内プロジェクトで3月完成。5月、行政経営審議会に報告】
 これは懇談会などの成果をもとに、庁内スタッフで構成されたプロジェクトチームが作成し、議会、市長、に報告されました。ここまでは予定通りであったようです。
 「見えてこない日高市総合計画4」(http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20091002/p2)で書いたように、市長、教育長、民間委員が参加する行政経営審議会にも5月に報告されました。この日高市の将来都市像とそれを実現するための施策の大づかみのイメージをもとに、本来は、各分野の施策についての議論と材料の収集が始まるわけです。
それにしても、こういう市の最も根幹となる重要な政策が、市のスタッフだけの内部組織で作成されるというのは、どんなものなのでしょうか。
 策定スケジュールを見ると、「策定委員会」という項目もありますが、現状では、これが設立されているという情報は見当たりません。策定委員会というと、地域に居住していたり関係する学者をはじめ、各分野の代表者を選出して大所高所からの意見を聞くことが通例です。情報が無いからどんなものであるか分かりませんが、あるいはこの委員会も内部組織なのかもしれません。
2 市民アンケート
【当初予定9月〜10月⇒実際の実施12月、締切り22日】
 市民アンケートは、総合計画策定上、基本データ収集として最も重要な工程の一つとされています。当初は9月に予定されていました。実際の実施は12月で締切りは22日となりましたから集計結果は、おそらく3月末ではないかと思われます。
審議会への諮問が4月、諮問案作成に間に合うのかどうか?
3 市民会議設置 
【当初予定5月設置〜10月までの6カ月⇒実際の実施平成22年1月〜3月の3カ月】
 総合計画の策定において、市民参加と情報公開は今や当然の前提です。市民会議の意見はアンケートと並んで、反映すべき意見として初期に行われるべきであるのはもちろんです。したがって、当初予定の5月設置6カ月間というのは妥当なものであったと言えます。それが年を明けての設置となり期間も3カ月となりました。
 3月末に市民会議の提言を市長に提出、とありますが、4月の審議会の諮問案作成に間に合うのでしょうか?
4 市民コメントの実施
【当初予定1月⇒実際の実施4月】 
 12月に発表されたスケジュールでは予定となっています。市民参加条例の手続きからいえば、行わなくても済む条件になります。アンケートの分析、市民会議提言の反映と切迫する中で、市民コメントの募集と反映が重なります。大変な重なりのスケジュールですが、キチンと反映されるのかこれも懸念されます。
5 諮問 
【平成22年4月、日高市政経営審議会へ諮問(予定)⇒従来予定通り】
6 議会提出
【平成22年9月、日高市議会へ提出⇒従来予定通り】

予定変更から明らかなこと

 以上のような策定スケジュールの変更となりました。これから分かることを列挙すると、事実認識として次のことが言えます。
 (1) 基本構想が庁内スタッフのみで作成されたこと
 (2) 基本構想が庁内プロジェクトで3月に出来てから、この12月の予定発表まで全く“音無し”であり、この間の進捗についての情報が一切ないこと。
 (3) 市民の意見を聞く3つの手段は大幅な遅れと、規模の縮小が明らかだが、審議会への諮問と議会提出の予定は当初通りであること
 さて、以上のことから分かることは、基本計画に反映すべき作業がスケジュール上の縦一線で、行政経営審議会の諮問とほぼ並んでしまっていることです。アンケートの集計結果と市民会議の提言及び市民コメントの3つの市民参加条例上の成果はどう処理されるのでしょうか。
 市民の意見が十分な検討を経て反映されるのか心配になります。
 ――こういうスケジュールで果たして市民の意見はキチンと反映されるのだろうか――
 という疑問が湧きます。

中身はすでに固まっている?

 ちなみに、10月22日に開催された第2回行政経営審議会の審議記録の中に、
 「第5次日高市総合計画基本構想・基本計画検討案(中間報告)(議決前の素案のため、非公開)」
とありました。基本構想の第1章「日高市の将来都市像」と第2章「施策の大綱」は公表されています。この非公開は、第3章以降の基本計画の細目なのかもしれません。とすると、これは、審議会諮問と議会提出案がすでに完成してしまっている?
 とすれば、先ほど述べた心配など通り越してしまっていて、後は「市民の役割」をはめ込めば完成、ということかもしれない。
 以上、事実の推移から推察してみました。