稲刈りの日、朝のTVで

 朝、稲刈りに出かける前の一時、テレビから「農業法人代表 菅原文太」という声が聞こえてきました。
 最近は以前とは違って、テレビが農業の話題を取り上げない日はありません。産地レポート、有名人の農業、無農薬・安全な農産物、先端技術農業、食の問題など、あらゆるテーマがあります。私が見たり聞いたりする朝と夜の番組でそう感じるので、全体では相当の数の農業番組が放映されていると思います。
 聞こえてくる内容やちらりと見る絵によって、画面に向き合ってみるかどうかは決まります。今朝は稲刈りに出かけようとした時のことですが、思わず立ち止まって画面を見ました。文太氏が取材を受けています。
 「農業法人代表菅原文太76歳、無農薬、安全で健康な作物づくりを目指す」という。ぶっきらぼうに答える姿に、76歳になっても“トラック野郎”の面影が残っています。
 「大規模化は反対だ。小さく目が届く農業がいい。お仕着せのやり方は反対だ」
 オー、いいこと言うなぁ。賛成だぞい。
 「農業への参入にはがんじがらめの関門が多い。若い人が入ってくるのは大変だ。県の支援を受けていても自分がそう感じるくらいだから」
 全くその通り。文太氏も既得権益の壁をよーく分かっている。文太氏は山梨県知事直々の支援で山梨県北杜市で農業を始めるという。株式会社も設立、当初30アールで始め耕作放棄地を取得していく計画とのこと。県も市も後押しをする、これは農業参入としては、極めて恵まれているケースです。
 敢えて夢を語らず、制度の欠陥を強調する姿勢も好感が持てます。有名人はなかなかこうはいかない、自分のことを宣伝することしか頭にないから。
 「農業の格差が出てくる。金と知恵がある人だけが成功し、小さくシコシコやっている人がいい目を見ない。きめ細かくやってほしい」
 同感だ。大規模化と国際競争力だけが農業の方向ではないはず。有機も無農薬もある、安全・健康志向の地産地消もある、補助金だけで済む問題ではない、もっと複線的な方向があっていいはずです。文太氏は、明日農水大臣に取材するというレポーター氏に、よく伝えておいてくれとも言っていました。

今日は暑くもなく寒くもなく、気持のいい微風が吹く晴天の稲刈り日和です。今年は、草もなく“純粋に”稲刈りの感触が味わえると思い、今日23日と明日24日両日の稲刈りを、メールで何人かに呼びかけました。10人と子供数人が参加、適度な賑やかさの中で楽しい稲刈りでした。