イノシシの食堂兼運動場となった

 私の畑はついに、イノシシの食堂兼運動場となってしまいました。いやはや、もう怒る気もなれません。今朝の惨状にはあきれてしまいました。やはり昨日、妻が見たイノシシ親子が私の畑を目指して、まっしぐらにやってきたのです。
 ルートはしっかりとイノシシの頭に入ったはずです。車両基地に沿って来て、沢伝いにくることがはっきりしました。途中、人家が沢山ありますが、私の畑のごちそうを思うと関係ないでしょう。

 生えそろった聖護院大根もあちこちで寸断。

 今週の福祉ネット市場に出して、無肥料野菜のおいしさを味わっていただきたいと、気合いを込めて作り丁度収穫時になったレタス。柔らかい葉だけにひとたまりもない。

 みみずを探して掘り返す。私のピーマンと伏見甘長はこれからが真骨頂、霜が降るまでおいしいのができるのに、根本をすっかり掘られてしまいました。
 部分的写真でみると、大したことのないように感じるかもしれません。しかし、畑全体がメチャクチャという感じです。そのなかでの唯一の規則性があります。畝に沿って一直線に掘り返しています。奴もよく知っているんです。畝に施した有機物の被覆の下にミミズがいるということを。
 私の畑のやり方の一つは、畝の上に有機物を被覆して、その下に微生物と小動物が集まるようにすることです。その結果、作物も自然の循環体系の中で肥料をやらなくても成長します。作物の根本近くに、ミミズや小動物が集まっていることを、イノシシは掘り返しながら知るのだと思います。
 周囲の畑を観察してみました。約100メートルくらいの間隔で離れている私のやっている畑3カ所すべてに出没していました。しかし、他の畑や広い面積にわたって分布している家庭菜園は被害を受けていません。隣りの畑は、この騒ぎがうそのように、きれいな地面がツルンとしています。
 夜、畑に行ってみました。案の定です。いました。いました。小屋のすぐそばです。向こうもびっくりしたのでしょう。低い唸り声を発して闇に消えました。消えました、と言っても姿は見えませんでしたが。
 私も威嚇の声を出し、スコップを機械にぶつけてガンガンという音を辺りに響かせました。あの唸り声、まさに獣の声でした。ウーッでもない、何とも表現しようのない初めて聞いた声です。
 一晩中、見張って生け捕りにできないだろうか、と真剣に考えています。トンネルの材料で、日光を60パーセント通す網の目状の黒いビニールがあります。それを被っていれば、真っ黒だから気付かれないはずです。側にきたらパッとそれを被せて生け捕り。
 昨日、健康診断の待合室でテレビを見ていたら、佐賀県のある市で「イノシシ課」ができたとのこと。数千万の被害を食い止めるためには絶対数を減らさなければならない、と職員は決意を語っていました。
 わかる、その気持。いままで他人事、山と接しているのにイノシシも来ない理想的畑と楽しんできたが、いよいよ野生との共存問題に直面することになりました。