ヒエが出ない――自然の驚異?
師匠とヒエの話をしました。、「今年はヒエが出なかった。いろいろ条件がそろったことはあるが、自分のやった作業も良かった」と少し得意げに話しました。
黙って聞いていた師匠、こんなことを言ったのです。
「どうも今年は、どこもヒエが出ないか少ないようだ」
「ん? どこも?」と私。
「何人かそんなことを言っていたなぁ。自分の田も出ていないし」
「どこも?本当ですか?」
「実際少ないなぁ。自然はすごいもんだ」
「自然はすごい?」
師匠からこの言葉が出たのには驚きました。師匠は断定的にものを言わない人なので、原因や結果についても、明確でないことにはそうはっきりは言いません。しかし、ヒエが出ない原因として、「自然はすごい」という言葉で表現したのです。
「自然はすごい」――この言葉はむしろ、私がしょっちゅう使っている言葉です。田も畑も山も知り尽くしている師匠からこの言葉が出るなんてそれこそ“すごいこと”です。
なぜ、どんなに、自然はすごいのか。
「ヒエが出てないことが、なんで自然はすごいことになるんですか?」
「まあ、何となくだよ。」
師匠もさすがにこの理由は曖昧になって、かんが働いたことらしい。私のかんもピンと働きました。
「何だか、ハチも少ないようだな」
来た! あの話です。そこで、私は、世界中でミツバチが消滅していて、日本でも発生しミツバチも交配用もいなくなって問題になっていること、日高でも起こっていることなどを話しました(このブログでも書きました。「日高のみつばちも全滅?(http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20090629/p1)」 「ミツバチが蒸発している(http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20090429/p1」)。
師匠は、そうらしいなぁ、と言って、この話は一部知っていました。
さてヒエの話です。師匠によると、どうも原因ははっきりしないのだが、ヒエが出て来ていないのはどこも同じで、何か自然的原因があって起こったのではないか、とのこと。
そうであれば大変なことです。水辺雑草の大将、親玉、放っておけばゾンビの如く田の全面を席巻し、古来より稲作の憎い敵であるヒエが、何か自然的原因で総崩れになったということです。
もし師匠の言うように、自然的何かであるとすると、ヒエが芽を出しえない条件、生存を脅かされている条件は、一体何なのだろうか。
天候の異変? 来年はどういうことがおきるだろうか。自然は1年に1回しか再現はできないのです。自分の田んぼでの“完璧な”ヒエ退治が自然現象に関係する重大な話になってきました。