“買物難民”と移送問題

 最近、ボランティアの広報紙にこんな文章を書きました。

 昭和47年頃、東急こまがわ団地が水無し団地として全国に報道されたことがあり、記憶されている方がいると思います。しかし今度は私たちの武蔵台団地が“買物難民”として、全国に轟いてしまいました。マスコミに1回ニュースが流れると、恰好な社会的テーマであれば後追い取材が行われ、どんどんマスコミが取り上げます。3回の報道は武蔵台の不動産価値を落とすだけの結果になるのか、あるいは小売業者の目について店舗の進出に繋がるのでしょうか。後者であってほしいものです。
 さて、このような状況の中で、6月28日、自治会が「お互い様移送サービスの検討会」を開催しました。新聞やテレビの影響でしょうか、かなり大勢の方が参加されました。
 自治会は移送サービスを検討するにしても、実際行うかどうかは白紙としました。しかしプログラムには「武蔵台地区としての取組みについて」「生活の視点からサービス提供の案を探る」とし、「どのようなサービス提供ができるのか?」「問題点の絞込み」を行うとなっていました。そして、検討会での話を、移送サービスに対する要望があると締め括り、次回の話合いは具体的手段について話す、としました。
 これに対し、出席者の意見の大半は、まず買物の不便解消が前提である、また移送サービスは単独で考えるのではなく、「買物の利便」という枠組みのなかで検討してこそ意義がある、というものだったと思います。移送サービスへの要望が実際にあるのかどうかも問題となりました。
 その結果、アンケートを行うことになりました。これは住民全体の意見の見極めがなかったという状況では、必要なプロセスであると思いました。高齢化社会の真只中に突き進む武蔵台住民の生活への思いはどんなものか、アンケートの結果はこれからのいろいろな議論の礎になると思います。
 さて、私たちの買物不便の行方はどうなるでしょうか。折しも6月19日、地域商店街活性化法が国会で成立し、今までの大地域、中地域での商業活性から一歩進んで、小地域商店街の活性化にきめ細かな国の援助が期待できることになりました。買物は商圏を前提とするので、周辺地域とも、したがって行政とも関係があります。高齢化の問題は内側に縮こまるだけでは理解も解決もできません。
 福祉ネットは、平成17年「相乗りサービス」を実施し、そして現在、「買物サービス」を行っています。地域に足をしっかりと着けつつ、ニーズの所在を試行してきた福祉ネットも、自治会といっしょになって知恵を絞ればいいと思います。もちろん、住民もいっしょにです。店舗の進出を阻む商圏数値の経営合理を超えるものは、住民全体の熱意と信じます。