ミツバチが蒸発している

 少し前からミツバチの失踪が話題になっています。私はミツバチには大いに関心があるので、この話題は強く印象に残っています。2、3日前も朝のTV番組で、専門家の見解を放送していました。
 ある日、突然ミツバチがいなくなる。それも、女王蜂を頂点とする群れ全部が忽然と消える。痕跡を残さず、行動半径に一匹の死体も発見されずにいなくなる――こんなことは、かつてない現象だそうです。
 「蜂群崩壊症候群」と言われる現象の原因は一体何なのか。農薬、ストレス、遺伝子組換え作物の影響、ダニ、細菌感染などの病気、いろいろな可能性が言われていますが、原因不明です。
 世界的な現象で、日本も全国的に発生していることが調査で分かりました。筑波にある農業関係の研究所が、全国の養蜂業者にアンケートを行ったところ、4割で発生していることが分かりました。原因不明のミツバチの蒸発は不気味です。
 人間と環境への農薬の悪影響を常日頃口にしている妻は、農薬だと即座に言い立てています。しかし、比較的研究されて行動が分かっているミツバチについて、専門家も分からない現象が起こっていることは何なのでしょうか。

 これに関する本も出版されました。文芸春秋社から出されたローワン・ジェイコブセン著/中里京子訳『ハチはなぜ大量死したのか』です。原題はFruitless Fall――The Collapse of the Honey Bee and the Coming Agricultural Crisis(実りなき秋――蜜蜂の壊滅と農業危機の到来)といいます。
 まだ読んでいませんが、必読の本だと思います。私もすぐ入手して読むつもりです。ミツバチの本といえば、私が大切にしている本があります。昭和45年に朝日新聞社から出版された『ミツバチの旅』。私のミツバチへの関心はこの本がもとになっています。