心機一転のトップ画像

 4月からトップの画像も新しくしました。心機一転というには変わり映えがしないかもしれませんが、これは好きな景色のうちの一つです。季節は2月末頃、マンジュシャゲ光合成を盛んに行い葉の緑色が一番きれいな時です。
 この林を構成している樹木は、大半がニセアカシアです。落葉広葉樹のニセアカシアは、マメ科ハリエンジュ属で 北アメリカ原産、日本には明治初期にもたらされたといいます。5月から6月にかけて房状の白い花をたくさんつけます。北海道の札幌の並木道が有名ですが、武蔵台でも滝不動へ下っていく道路の街路樹でおなじみです。
 白い房状の花は甘味が非常に強く、自然農業では糖度を増す天恵緑汁の材料としてよく使われます。黒砂糖に浸けて出てくる液を薄めて果物や果采類に噴霧してやると甘味が増しおいしくなります。
 ニセアカシアのあるのは臨時駐車場とあいあい橋に挟まれた地域です。私が、マンジュシャゲ公園のニセアカシアがあるこの辺一帯がいいと言った所、ある人に言われました。「あそこは、ニセアカシアのような外来樹ではなく、ナラやクヌギの日本の樹木が似合う。そういう木を植えていくべきだ」。おおよそ、こんなことだったと思います。
 なるほど、その通りだと思いますが、私は、群生している高木落葉樹のニセアカシアの下にマンジュシャゲがある組み合わせが何となく好きなのです。「ハリエンジュ」という別名もいい語感です。高木だから地面のマンジュシャゲと枝葉との距離があり、その間の空間に魅力を感じます。冬にはその空間の先に透けて見える日和田山、枝葉が茂る季節には緑の空間、何と言ったらいいのか、天井の高い建築物の開放された気分とでも言えます。
 さて、そのような私的な気分とは関係なく、ニセアカシアの世間の評価は、悪者というのが相場です。根が浅く風には弱いのですが繁殖力が極めて強く、どんな土地でもあっという間に枝を伸ばした大木になります。そして、他の植物の成長を抑制するアレロパシーを発散させ、下の植物を駆逐してしまう。それでもマンジュシャゲが緑の絨毯を広げるのは、マンジュシャゲが強靭な生命力を持っているか、共存関係があるのかもしれません。
 こんな旺盛な成長力が日本固有の植物を圧倒するとして、、「外来生物法」で「特定外来生物」に指定されそうになっているそうです。こんな訳でニセアカシアは“有害”樹木として、全国で伐採される運命にあります。この大元の根拠となっているのが、平成4(1992)年、ブラジルで開催された国連環境開発会議(地球サミット)で採択された生物多様性条約です。
 そこで困るのが養蜂業者です。日本産のはちみつの大半はニセアカシアのみつなので、みつ源がなくなる事態に直面することになります。巾着田ニセアカシアも地場産はちみつのもとで、花の咲き具合でみつの出来に影響があるようです。
 ニセアカシアマンジュシャゲの景観に透けて見えてくるのは日和田山だけではなく、環境に関する多様な様相です。