凧あげ挑戦

 今日は凧あげ大会、私は運営役員として8時半に巾着田へ。開会は9時、ボランティア団体の「ソクラテスの会」で登録してあります。凧の揚げ手がくるかどうか心配でしたが、苦心の作を携えてやってきました。

“私は会場整理係の黄色いウィンドブレーカーを着ています”
 やはりというか、またというべきか、昨年と同じく風がない! 微風が頬をなでるが、凧揚げの風とは言い難い。昨日は、ものすごい風でこの分なら完璧だ、と内心喜んでいましたが、その風がうそのような状態です。自分たちの凧もあがるかどうか心配ですが、遠方から遠征してきた大凧があがらなかったら気の毒です。昨年は、まったく揚がりませんでした。
 小学生のグループが終わって一般の部。風は吹いたり吹かなかったり。巾着田はもともと風の状態はよくないとのこと。吹く方向が一定しません。
 さて、どうなったか。作るところから振り返ってみましょう。

拡大印刷と貼り合わせで作成した下絵をもとに絵を描く。ソクラテスの顔の雰囲気が出ればいいのだが、難しそうです。


 何とか形だけは書きました。下絵をはずす。

 糸巻きだけは早々と立派なものが完成しています。かいこの糸巻きが使えるとの指導者の示唆でしたが工芸の腕があるAさんが、私の糸巻き探しのとん挫を予想していち早くつくったもの。

 ソクラテス凧は骨を作ってから絵を貼りました。カエルは自然農業のイメージキャラクターで、凧絵にピッタリです。二つともソクラテスの絵では“芸もない”ので、家にあった絵を漁っていて思いつきました。この凧は紙に骨を貼っていきました。製作工程が逆になっています。どちらが正しいでしょうか?

 和紙に骨を貼りこんでいく前の、寸法合わせをして紙を切っているところです。したがって、骨は紙に貼っていきます。紙に寸法線が書き込んであるので、それに合わせて骨を貼っていけば正確な形に仕上がるわけです。ソクラテス凧は独自に作業をすすめたので指導者のこのポイントは考慮に入りませんでした。カエル凧は作業が遅れたので、かろうじて本来の作り方を踏襲できました。

 前々日の試運転、北平沢のグラウンドです。このグラウンドがこんなに立派だとは知りませんでした。芝生の手入れもよく、ちょうど、その作業が業者によって行われているところでした。周りの景色もいいし凧上げは巾着田よりこの場所がふさわしいと思ったくらいです。県道バイパスがこのグラウンドの真ん中を通過することが既定です。そういう条件でこのグラウンドはバイパス路線決定後にできたとのこと。残念だがそういうことであれば仕方がないですか。
 さて試運転。風は吹いたり吹かなかったり。ソクラテス凧は苦戦しましたが、カエルは軽やかに揚がりました。ソクラテスはやはり重い。大きさ、和紙の材質、絵具の全面塗付などグラムを加算する要素はたくさんあります。それにもまして重要なのは、糸目の調整。これは経験と試行の繰り返しで調整します。指導者が調整すると一発で揚がりますが我々がやるとうまくいきません。カエルは微風でも揚がりそうで、指導者のお褒めの言葉もいただき、当日の期待も膨らみました。

 Kさんの指導で何とか形にはなりました。
 凧揚げ大会の成果はどうだったかって? 惨敗でした。前夜、関係者に「指導者Kさんの凧と覇を競うはずだ」なんて大口をたたいたのですが、全く及びもせずでした。Kさんの凧は微風にもかかわらず、手をかざして見れば、はるか上空に垂直に近い角度であがり、青空に浮かぶ赤い豆粒のようでした。
 わがソクラテス凧はどうだったか。ふわりと浮かびもせず、手を離せばふにゃりという弱弱しい感じででの落下に意気消沈、何度やっても同じでした。空高く浮遊するソクラテス氏の姿を仰ぎみてボランティア精神の興隆を期そうという思いは成らずでした。因みに、ソクラテスのバックのブルーは希望、赤の文字は情熱という意味をこめてのデザインでした。
 一方、カエル凧はどうだったか。…………試運転で意気揚揚となったあの揚がりっぷりは再現できず、わずかの風に反応してある程度の高さに揚がりはするものの、やはり風をはらむことなく、ふにゃりふにゃりと軟着陸。それを阻止せんと、後期高齢者直前のYさんがグラウンドの隅から隅まで走る。それを見た私は「走るなYさん、心臓麻痺を起こすから走るな!!」と叫びながら後を追いました。私の制止を無視して2度、3度と走って、―応揚がったことに納得して終了。
 本当はYさんに変わって走り、何とか風に乗せたかったのですが、運営役員という立場です。手を出すことはできません。揚がったことには揚がったが、満足いくものではありませんでした。天空には4、5本の凧が、見えるか見えないくらいまでに揚がっています。ああなるはずだったのだが……。
 軽い気持ちで始めた凧つくり。甘くはなかった。指導者もその辺は見越していました。準備と工夫と試行錯誤の経験だと、何度も言われました。これで揚がってしまったら、我々は何も学ぶことにはなりませんでした。
 ・材料選びと準備
 ・グラム単位での軽量化の組み立て
 ・見た目の美しさとデザイン
 ・飛ばす技術、糸目の経験
 至れり尽くせりのご指導で、関門と要点は全て教えていただきました。来年の雪辱を期して竹を切りだす話が始まっていました。風との対話を目指します。高年4人の凧揚げ挑戦記でした。