街路樹はやっかいもの?

オブジェとなった街路樹

 私の住んでいる武蔵台では、いま2年に一度の街路樹の剪定が行われています。剪定された街路樹を見るにつけ、私の頭の中に眠っていた考えが、よみがえってきます。
 それにしても、あの選定は何だろう、もう剪定ではなく丸刈りです。2年前はもう少し枝を残してあったと思いますが、今回は全く枝が残っておらず、完全に1本の棒がたっているという有様。2年前に書いた文章を読んでいたら、ぼさぼさの頭をした若者が突っ立ているようだ、と感想を書いています。ぼさぼさ頭の若者には失礼な表現ですが、確か、そういう感じだったとおもいます。
 これはもう街路樹ではなく、街路オブジェですね。そうか、街路樹ではなくオブジェとしてみればいいのかもしれない。街路樹だと思うから枝があって葉っぱがあって、と思う。しかし、これは恐ろしいオブジェです。なぜこんなオブジェを作るのか、2年に一度の選定時、また私も考える季節となりました。

片側はまだ未剪定です

オブジェ?
2年前に考えたことが文章に残っていました。次の文は、平成18年の夏、自治会が街路樹の件で意見を募集していた時書いたものです。

街路樹は必要か、2年前考えたこと

 街路樹および武蔵台の景観について
 役員の皆様、お役ご苦労様です。今回自治会が街路樹について意見を募っていることを知りました。私見を述べさせていただきます。

 1 街路樹の役割について
 街路樹の役割はいろいろな側面かありますが、特に武蔵台のような団地地区には景観形成上なくてはならないものです。しかし、年月が経って景観として意識されなくなるにつれて、デメリットが言われるようになってきました。例えば、交通安全への影響、歩道の破壊、電線への影響、落葉による清掃負担、剪定などの維持管理のコスト、といったものです。
私はこれらのマイナス要因はあっても、街路樹は武蔵台の景観上なくてはならないものだと思います。以下に述べることは、街路樹の積極的役割を認めた上で、先に挙げたデメリットをいかに軽減あるいは折り合うか、ということが中心になります。
 2 法的規制と武蔵台のデータ
 街路樹は道路の付属物として法的に定められたもの、という性格があるので、簡単にはいかない側面があると思います。また武蔵台のどの街路に何の樹種が何本というデータも手元にありません。したがって以下に述べる私見はアイデアに過ぎませんから、これらデータや法的規制との調整や配慮の議論が必要になります。
 3 幹線道路の街路樹
 武蔵台を貫通する幹線道路にはカエデ(トウカエデ?)とアカシアが植栽されていますが、問題の中心はこれになると思われます。
(1) 樹種
 これだけの大木になった現在、これを他の樹種に植え替えるというのは不可能です。トウカエデは全国の街路樹の樹種のうち28パーセンを占めるそうです。また落葉木を常緑樹に植え替えることも行われているそうですが、いずれにしろ変えるという選択肢は出てきません。
(2) 間隔
 一見して間隔が狭いのではないかと思われます。法的に可能かどうかわかりませんが、一本おきに伐採するというのはどうでしょうか。そうすればいくつかのメリットが生まれます。
○間隔を広くすることで、うっとうしさが緩和される。各戸の植栽が進んだ現在、武蔵台全体 の緑化率はかなり上がったとすれば、街路樹の緑化という役割を少し軽減させてもいいので はないか、ということです。
○現行の強剪定ではなく、多少弱剪定とすることが可能となり、景観上よい効果がでる。
○管理面の負担が何十八−セントか軽減される。これが最も大きい効果です。
○切るといってもただ単に切るのではなく(切って根を撤去するのは大変なコストがかる)、 根元から切って活かすことです。そうすればひこばえが出てきて、低木として刈り込めば、 都市景観としての統一的景観は維持できます。街路樹の統一景観は重要ですから。また活か してあれば法的規制に抵触しないことも考えられます。いずれにしても、これは単なるアイ デアです。
○切った場合、切り株として別途活用することも考えられます。ベンチ、花置き台など。また 切った木は産業廃棄物としないで活用を考える。
(3) 剪定
 現在の強剪定は、街路樹はやっかいものという意志の現われでありますから、役割を認める以上、もうすこし弱剪定が望ましい。どの役割かというと、やはり都市景観としての“並木道”という感覚です。現状は、頭がボサボサの若者が突っ立っているような感じで全く無味乾燥です。街路樹の下を歩くことに潤いが出て、歩いて楽しい“並本道”(この語感にはだれでも好印象を持っているのではないですか)にすれば、武蔵台のアメニティは上がると思います。落葉清掃の負担はよくわかりますが、そこは良好な景観保持の役割を住民に認識してもらうことを、自治会が積極的に働きかける、ことだと思います。先に述べた「間引く」効用の波及は大きいと思います。
(4) 落葉清掃
 (2)によって、多少は軽減されますが、景観の積極的役割をPRすることで、清掃を自分たちの問題としていくことだと思います。これがいかに困難かよくわかりますが、意識改革を続けるしかありません。そのショックが伐採です。
(5) 剪定枝
 強弱いずれにしろ剪定については、全国の街路樹管理先進地域でいろいろな試みが行われているようです。こういう地域を調査し、また道路・街路樹関係の団体など専門家の意見を聞くことも必要になるかと思います。
 剪定枝葉は、現状はチップ化後、一般の堆肥化以外は最終的には産業廃棄物として処理されているとも聞きます。これは大いなる資源の損失・無駄遣いです。廃棄過程での処理経費はもちろんそうですが、有機物としての利用しないこともそうです。コスト低減ができれば域内処理の可能性を追求してみたらどうでしょうか。
 チップは2年積んでおけばよい園芸培養土になります。これを自由に住民に使ってもらえれば有効利用になります。周囲が山林ですからそこに、大量のかぶとむしの幼虫が発生します。これはニ本当に大量の幼虫が宿ります。小学校の敷地の隅に積んでおけば、いつでも幼虫から成虫に至る過程が観察でき、教育効果も期待できます。土になってしまえば体積的にはほんの小さなものになりますから敷地的にもそう広くなくて大丈夫です。軽トラ6合分のチップを積んで土にした経験より。

 この提言を行った後どうなったか、次回に載せます。