年末に思ったこと

ここ2、3日、新聞の大きな見出しのキーワードは、この3つです。

1 緊急経済対策3.5兆円
2 与党税制改正大綱
3 地方創生戦略


緊急経済対策と税制改正が、政権が経済政策を成功させるための景気浮揚策としての短期的政策であり、地方創生戦略は、地方の底上げをねらう長期的政策といえます。
前2者は国民にお金を使って貰い個人消費を底上げすることで、そのためのありとあらゆるアイディアのオンパレードです。まるで、ワークショップで出た意見・アイディアを括ってはめ込んだようなような印象を持ちます。
その中には、本来、長期的課題として根幹を成すテーマもあります。昨日触れた法人減税や子育てです(図:2015年度与党税調改正大綱の主な内容「朝日新聞」31日)。
昨日の富岡教授の言葉ではないが、公正であるべき税制をこんなにチョコチョコいじってしまっていいのか、という素朴な疑問がわきます。
創生戦略の中にも、自治体を通してお金を使って使う仕組みを盛り込んだ交付金が入っています。こちらも、自治体がひねり出すアイディアのオンパレードになるようです。
 一方、地方創生戦略は、日本の人口の現状と将来の姿を示し、今後目指すべき将来の方向を提示する「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」で、今後5か年の目標や施策の基本的な方向を提示しています。官邸のHPには、石破地方創生担当大臣のコメントが出ています。
その中で、戦略の目的として、次のようなことが挙げられています。

1 2020年までの5年間で地方での若者雇用30万人分創出などにより、地方における安定的な雇用を創出する。、
2 現状、東京圏に10万人の転入超過があるのに対して、これを2020年までに均衡させるための地方移住や企業の地方立地の促進などにより、地方への新しいひとの流れをつくる。
3 若い世代の経済的安定や働き方改革、結婚・妊娠・出産・子育てについての切れ目のない支援などにより、若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる。
4 中山間地域等、地方都市、大都市圏各々の地域の特性に応じた地域づくりなどにより、時代に合った地域をつくり、安心な暮らしを守るとともに、地域と地域を連携する。



 (図:日本経済新聞、12月28日)
ここでも素朴な疑問です。地方創生というのなら、TPPの問題は避けて通れないはず。政権の方針である参加した場合は地方にどう影響するのか、何も触れていません。
また、地方創生に関係のあるもう一つの重要なこと、エネルギー自給をどうするのか、これについても触れられていないようです。
食料とエネルギー、この2つの基本的課題を抜きにして地方創生の長期ビジョンが語れるのだろうか、という疑問です。語れないから、アイディア羅列と女性の生き方に干渉する政策となって出てきているのではないか。

いま、すべてのことが短期的課題として、アベノミクスの成功に貢献する、あるいは直結する短期的課題として総動員されている感があります。霞ヶ関には、アベノミクス成功総動員令が布告されており、子育ても介護も医療等も例外ではなく、さらに短期も長期もない、とにかく経済の上向き加減だけは維持しなければならない、という至上命令です。
政府と与党は近視眼的となり、本来、政治が考えなければならない国の長期的あり方に考えが及ばなくなってきています。それが習慣化すれば、いま思考停止となった中央政治はますます劣等化する予感がします。
そして、その後が肝心です。国民の望むところからすれば経済の維持は当然のことなのですが、その国民の望む経済の維持・成功を口実として、背後にある本命が立ち上がってきます。憲法改正、武器を手に戦闘参加の集団安全保障です。これが、経済の成功を下敷きにした政権の至上目的なのです。断言してもいいのではないかと思います。
年の最後の日にこんな素人的妄想が湧いてしまいました。将来は、何かはわかりませんが国民が痛い目にあう局面が出てくるのではないかと、漠とした悲観に陥ります。
突然ですが、時々、気になります。青森の無農薬リンゴ農家、木村さんの、あれほど信頼している奥さんにも言わないこと。竜からの伝言と三途の川を渡ろうとした時言われたこと(私の記憶曖昧で違う場面かも…)。