一般質問 公共交通政策について

一般質問は、下記のような全体的流れの文章を作り、実際に登壇しての質問の時は、これをさらに単語化して簡略なものを見ながら行うので、実際の表現は異なることもあります。もちろん、実際は「です・ます」での発言です。
武蔵台で起こった横断歩道での事故は、複合化された危険性によるものだったと思います。目に見えない危険性が存在しており、何か、偶然が一致することでその危険性が発現することがあるのではないか。カーブと急坂、カーブの途中またはボトムにある交叉点や横断歩道、沿道ににある街路樹や電柱、これらの情報に疎い通過車両等。当該カ所のみの物理的対策ではない情報告知面での対策の必要性を常々思っていたので今回の質問です。
そして、今まで私も含めて何回か質問があった大型車の通過車両の問題。これは明らかに、地域の生活条件への影響を考えれば公共交通政策の問題です。その先には、もっと広範な論点を含む交通インフラの問題につながります。今回はそこまでは追求しませんでしたが、市の基本的姿勢に係わります。
武蔵台に係わるもう一つのことは、送迎バス試験運行の終了です。私が議員になる以前に始まった企画で、随分長い間、自治会が先頭に立って議論され実現したものです。狭い地域内でのニーズが持続的なものか、これはやってみなければなりません。
しかし、結局、ニーズはあるが散発的で塊として動いていかない、ということが判明しました。終了となってしまいましたが、これは貴重な経験でした。自治会も援助した市も、社会的実験の価値あるプロセスとデータを提供したわけです。高齢化社会や子育て困難社会で、学者が机上の理論であれこれひねくり回した処方箋も実際はやってみなければ分からない。終了を知らせる自治会報告書もそのプロセスと結果をキチンと分析していて、気持ちの良い内容でした。
以上の武蔵台、横手台に係わる地域問題から敷衍すれば、日高市の公共交通政策と、交通安全政策の現状が見えてきます。送迎サービスの実験を行う際には、市域全体の移動手段の問題も、当然のことながら議論されました。とすれば、循環バスやオンデマンドによる移動手段を通した公共交通機関との連携のテーマに即繋がっていきます。
そこから見えてくる市の公共交通政策は、政策と言うにはいささか見劣りするものではないかという、問題意識です。交通政策課は、もともとバス路線の廃止問題から発生した組織なので、方向性がそちらに向いてしまうのは無理はないとしても、利益本位の民間企業の支援・後押しのみが市の政策だとしたら、それだけでいいの? ということになる。現状から見えてくるものはそれしかない。。もっとやるべきことはないのか、この辺が問題意識です。
以下、質問概要と答弁です。

<質問の骨子>
1 交通安全対策、公共交通対策について
(1) 武蔵台で発生した事故をふまえた歩行者安全対策及び通過車両対策は。
・11月5日、武蔵台内市道の横断歩道で死亡事故が発生した。
・事故にあわれた方は、広報ひだかを配布されている最中のことで、地域に非常に貢献された方で、地域の悲しみと驚きは大きいものだった。
・下り坂高低差とカーブの連続、交差点構造や通過車両のスピード等、武蔵台内交差点と横断歩道の危険性は従来から指摘されてきた。
第一に、今までどんな対策を採り今度の事故に際してどんな対策を採ったのか。
第二に、地形的条件とスピードに対しては、諸条件を科学的に調査して効果的警告法を行うべきだ。市内の交通安全計画にも活かせる。
第三に、今回の事故は大型車両ではない通過車両によるものだが、従来の質問に重なることを承知で、改めて大型車両の通過対策を伺う。現状の夜間規制を終日に拡大してほしいことは地域の強い希望。沿線に産業施設は全く無く、元々純然たる住宅専用道路であり生活道路である。
飯能側から久保交差点まで永田台、横手台、武蔵台の通過は、私の簡易計測で3キロ、7分、それに対して、最近完成した飯能市都市計画道路と国道299経路は6キロ11分。この差3キロ4分、大量の排気ガスと振動、スピードによる安全面等、生活条件の低下を招いていることは明白だ。
第9次交通安全基本計画のなかの一節に、「幹線道路を走行すべき自動車が生活道路に流入することを防止するための対策を推進すべき。生活道路における交通安全対策はその地域に最も効果的な施策の組み合わせを地域が主体的に行うべき」。とある。これらを踏まえて終日規制とすべきではないか。

(2)公共交通対策としての武蔵台送迎サービス試験運行終了についての見解と今後についてどのような方針か。
・今年度予算によるこの事業は10月末で終了、残念ながら利用人数が初期の目的に達しなかった。
・この事業は6,7年間にわたる多くの議論と検討を重ねて実施されたもの。議論のプロセスには自治会や関係者の貴重な努力があった。回覧された最終報告書は、データに裏付けられた説得性あるもので、今後の可能性が示唆されている。
・移動・移送の需要・ニーズを探し特定することに、理論通りいかない難しさを感じるが、しかし市全体の交通政策上の貴重な経験と知見である。これを踏まえての見解と今後についてうかがう。

(3) 市内循環バスに関する検討状況は。
・武蔵台送迎サービス試験運行に関する今年度予算質疑の際、私は、この事業名「高齢者等の移動手段確保・研究事業」には市内全域の移動も含まれているか確認した。
・含まれるとの答弁だった。そこで古くて新しい課題である市内循環バスの、時代の流れに即した検討は行っているのか。いるのであればどういうレベルか。
(4)公共交通政策、交通安全対策に関する現状方針と将来ビジョンは。
・交通政策課は、国際興業バスの運行停止の危機に際しての公共交通促進が目的で設けられた経緯から、現状の主たる業務がバス交通の充実と鉄道輸送環境の充実という所にあることは理解できる。
・もともと市民一人ひとりには移動の権利と欲求があり、その自由な発揮によって地域が栄える。その実現のために国レベルでは、交通政策基本法と既に第9次となった交通安全基本計画がある。さらに今年度には人口減少、高齢化対策のための地域公共交通の活性化と再生を市町村計画とすべきことが定められた。
・そこでは民間事業者の事業運営に任せきりであった従来の公共交通の枠組みから脱却し、地域公共交通を再定義して地方公共団体が先頭に立ってネットワークを作るべき(国交省)と、市民本位の施策や事業が求められてきている。
・こういう太い公共交通政策の流れを踏まえた現状方針と将来ビジョンがあるのか、どうか。


<答弁>
はじめに、武蔵台で発生した事故を踏まえた歩行者の安全対策及び通過車両対策についてお答えいたします。
歩行者の安全対策については、これまでに飯能警察署からの指導や地元自治会からの要望などにより整備や修繕等を行ってまいりました。今回の事故の翌日には、飯能警察署とともに現場確認や調査を行ったうえで、その対策を講じております。
事故発生現場は、緩やかなカーブの下り坂で、周辺には道路照明灯が設置されておりましたが、更なる明るさ(照度)を確保するため、周辺4基のカバー洗浄や電球、LEDへの交換を行いました。また、通過車両対策として、減速を促すためのドット線の標示と交差点の存在を注意喚起するため、交差点内にレンガ色の滑り止め舗装を施工しました。これ以外にも、以前から事故が多く発生しております東西通りと中央通りの交差点にも同様の対策を行っております。
なお、大型車両などの通り抜けの道となっている問題もあり、これまでにも通行規制の強化を飯能警察署に要望してきた経緯がございます。市といたしましても、今回の事故発生を機に通行規制等の再検討を要望してまいりたいと考えております。

次に、こま武蔵台自治会による移送サービスの試験運行終了に関するご質問にお答えいたします。
移送サービスの試験運行は、、残念ながら目標には届かず今回は「本格運行への移行を見送る」との結果になりました。なお、自治会では試験運行データや課題点を整理し、今後、再検討を進めていくとのことでございます。
市といたしましては、住民の外出機会を創出することは、市総合計画の市民による協働指針と整合し、また、地域のコミュニティの活性化も図られるものと考えております。今後も必要な協議、支援をしてまいりたいと考えております。

(3) 市内循環バスに関する検討状況は。
 次に、市内循環バスに関する検討状況について、お答えいたします。
市内循環バスは平成8年度から平成19年度まで11年間運行しましたが、バスの排ガス規制や老朽化等の問題もあり、平成19年3月末日をもって廃止した経緯がございます。
しかしながら、公共交通の充実が一層求められていることは認識しております。鉄道とバスの連携を充実させ、地域の拠点間を結ぶ「幹線ルート」や拠点から分岐して幹線に接続する「支線ルート」など交通機能を区分する方法などがございます。
市といたしましては、既存の公共交通を補完する交通手段や手法を検討し、高齢者等の移動手段の確保を図ってまいりたいと考えております。

最後に、公共交通対策、交通安全対策に関する現状方針と将来ビジョンについてお答えいたします。
公共交通対策については、平成24年度に実施した地域公共交通実態調査において、路線バスの周知不足を指摘する意見が多数寄せられたことから、周知及び利用促進を図ることが、当面の課題と位置づけ、各種事業を実施しております。併せて既存の公共交通を補完する交通手段や手法の検討を進めており、今年度は、こま武蔵台自治会による移送サービスの試験運行を実施したところでございます。
 交通安全対策については、交通安全啓発活動を重点として実施しており、市内交通事故の被害者の多くが高齢者であることから、高齢者を対象とした交通安全教育等の充実を図っているところでございます。
日高市総合計画に規定されている交通政策の将来ビジョンの実現のためには、公共交通の基本となる路線バスの安定的運行が必要で、その周知及び利用促進を図ることを当面の課題と位置づけ、事業を実施しているところでございます。



<再質問>
1武蔵台事故と大型車通り抜けについて
○大型車の通過、通り抜け規制対策は再検討を要望するとのことだが、ただ要望ではなく、地域の実態や周辺交通と通り抜けの関係等、生活優先のデータに基づいて早急に行うべきだがいかがか。

2移送サービスの実験と循環バスについて
○ニーズは多様化している。移送サービスの経験データは非常に貴重だが、一方、福祉系のオンデマンドは急激に伸びている。2団体は利用データを克明に記録し需要の存在を裏付けている。循環バス検討の上で必用な動向と思うが、縦割りの中での実態である。バス、鉄道の利用環境の整備と併せてどう位置づけていくのか。

3公共交通政策について
平成24年10月に実施した公共交通実態調査は、予算765万で実際の執行は約250万円だったのだが、この大きなアンケート調査の結果として、市の公共交通について報告や計画等の成果が出るものと認識していたが、その後の経過はどうだったのか、また計画化の予定は。
○公共交通もバス、鉄道だけの枠組みから脱却すべき、と国交省も再定義に踏み出した。市の動向からも明らか、政策に値する総合的な対策を打ち出すべきではないか。


<再質問答弁>
交通規制につきましては、これまでも飯能警察署に対しまして、規制の強化をお願いしてきました。交通事故には人的要素をはじめ様々な要因が関連して発生していることから、交通規制を強化することだけで、交通事故を完全に防げるということではありませんが、この道路が住宅街を通過することなどを踏まえまして、今回の事故発生を機に再度強く要望してまいりたいと考えております。
高齢者等の移動手段の確保を図っていくために福祉団体による有償運送や地域支え合いによる活動については、高齢者等の移動手段としては有効な手法であると考えております。
今後は、これら福祉活動を含め、バスや鉄道などの「幹線ルート」への接続や補完するような取組みを検討してまいりたいと考えております。
公共交通実態調査結果によりまして、市民の移動手段は自家用車が圧倒的に多かったことが判明しました。このため、高齢者の運転免許証返納者対策が必要と判断し、路線バスの乗車券の交付を開始したものでございます。実態調査の結果は、市の取り得る交通政策を検討したうえでの資料として活用を図っております。
 また、調査結果につきましては、平成24年12月に市ホームページにて公表しております。
計画化につきましては、今のところ予定はしておりませんが、国の動向を踏まえて、今後判断してまいりたいと考えております。
路線バスやタクシーは、道路運送法においてきましても公共交通の存続のための様々な規制がかけられており、新たな移送サービスを検討するうえで制限がされております。まずは、既存の公共交通が後退しないようその利用促進を図り、維持・確保していくことが重要な課題でございます。
新たな公共交通を構築するためには、運行システムに要する経費や道路運送法の制約、民間事業者への配慮などを慎重に検討する必要がございます。
今後、公共交通を補完する取組みについて検討し、福祉的なシステムなども視野に入れながら検討してまいりたいと考えております。



<再々質問>
○260万円かけた交通実態調査は、市の公共交通政策を考える上で不可欠のもの。調査・分析の後、計画や報告を公表しその後の施策の根拠を示すことは当然のこと、飯能市は実態調査を行った後計画を策定し、検討する協議会の議論もズラッと並べていて政策の履歴が分かる。公開しておかない理由はなぜか。
<再々質問答弁>
飯能市につきましては、バスの撤退問題を契機といたしまして、乗合バスの維持確保と交通不便地域への対応について検討するために協議会を組織し、この中で、基本方針となる計画の資料として「実態調査」を実施したものと聞いております。
日高市で実施しました「地域公共交通実態調査」は、市民の皆さんが普段どのように移動しているかを把握するとともに、電車やバスなどの公共交通がどの程度利用されているかを検証し、今後交通政策を検討するに当たり、参考とすることを目的としております。
報告書の公開につきましては、平成24年度に策定されたものであったことから、掲載期限が既に終了しておりました。しかしながら、今年度実施しました「まちづくりに関する市民意識調査」において「公共交通の充実」の関心が高いことから、再度公開してまいりたいと考えております。