日高市監査委員の選任について

 議案第45号として「日高市監査委員の選任について」が提出され、議会は同意を求められました。
 提案理由は、「欠員と成っている日高市監査委員(識見を有する者のうちから選任する監査委員)に関口基男氏を選任することについて同意を得たいので、地方自治法196条の規定によりこの案を提出するものである」。
 議案書にあった関口基男氏の経歴の要約です。
 昭和47年埼玉大学経済短期大学卒業、関東信越国税局に勤務され、関東信越国税局管内税務署法人課税部門上席国税調査官を経て、平成21年関口基男税理士事務所を開設。
 監査委員は、地方自治法で定められた行政委員会制度のうちの一つで、都道府県と市町村に別個に設置されています。
 市の場合は、他に、教育委員会選挙管理委員会、農業委員会、公平委員会、固定資産評価委員会が設けられており、この6つの組織が、建前上では独立した業務を行っています。
 この制度は、政治的中立性や公共性の判断が求められる分野に、内閣や市町村長等の権力から独立した合議制の組織として、戦後民主主義の仕組みとして発足したのですが、いまでは制度にほころびが出て問題が指摘されることも多くなりました。
 監査委員は、都道府県や政令で定める市(人口25万人以上)では4人ですが、日高市の場合はは2人です。1人は、「人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政管理に関し優れた識見を有する者」と地方自治法に定められた人で、もう1人は、議員から選ばれます。前者は、短くして一般に「識見を有する者」と言われ、議案にあった言葉もこれです。任期は4年ですが、今回は長く勤められた前委員の後任人事です。
 なぜこの人を選んだのか、という議会での質疑には、必ず条文にある「人格が高潔で、普通地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政管理に関し優れた識見を有する人物」だからです、という答弁が例外なく返ってきます。もちろん「財務管理、事業の経営管理その他行政管理」という部分は、各行政委員会の専門分野の言葉に置き換わるわけですが。
 仕事は、「市の財務に関する事務の執行及び市の経営に係る事業の管理の監査を行うこと」とされ、事務局長と職員1人が監査委員をサポートしています。日高市の場合、総務課長が事務局長を兼任しています。
 具体的仕事の成果は、次の3つの形で提出されます。
 1 定例監査
 「財務に関する事務の執行」と「経営に関する事業の管理」。市の事業とお金に関することすべてが対象となる。結果は議会に報告される。
 2 例月出納検査
 毎月のお金の出し入れのチェック。議会に報告される。
 3 決算審査
 これは市の決算が間違いないかどうか、市長による審査の依頼で行われるもの。市長に「意見書」として提出され、議会へは、決算特別委員会の参考資料として提出される。
 以上3つが主な仕事だが、非常に重要な仕事が2つあります。
 1 直接請求による監査
 有権者の50分の1以上の署名で、市の事務の執行に関する監査を代表者が監査委員に対して要求できる。
 2 住民の請求による監査
 市長や委員会などの執行機関や職員による違法又は不当な財務会計上の行為があると認めるときに、監査を監査委員に対して請求できる。
 いずれも市民が市政に疑問を感じたり不正を見出した時に、監査委員に対し監査を求めることができる制度です。「住民監査請求」の対象は、市の財務会計に関することに限定され、市民1人でも請求することができ、「事務監査請求」は市の仕事全般が対象となり、請求には有権者数の50分の1以上の署名が必要です。
 以上のことは、市町村のHPで説明されています。実際は、政務調査費の内容や工事の談合、不正などで、2の住民監査請求はがオンブズマンによって請求されることがよくあります。