イオンアグリ日高農場

 イオンアグリ創造(株)。日本最大の流通企業であるイオングループの農業部門で、昨年、日高市で農業を開始して話題になりました。イオンはあれだけの規模ですから、スーパーで販売する農産物を大量に調達する必要があります。今までは、生産者との契約栽培が主で、買い上げた野菜に「トップバリュ グリーンアイ」というPB(自社ブランド名)を付けて販売してきました。
 2000年農地法が改正され企業の農業参入が可能となり、2005年からは農地リース方式が認められました。市町村の指定した場所であれば農地の賃借が自由にできるようになったのです。
 日高市でも、農業政策として遊休農地の解消・活用を進めてきたのだが、これまでは実績がなかった。農地を守るための法律として戦後微動だにしなかった農地法が、農水省の堅固な壁を崩して緩和された結果、新しい動きがようやく出てきました。イオンの日高市での農場経営はその動きの一つであったので、随分、マスコミに取り上げられたようです。
 背景に、農地法の改正による株式会社の参入可能と首都圏の耕作放棄農地の利用可能が結びついたことがあります。さらに流通企業が首都圏での野菜生産の現実的メリットに気が付いたことが大きい。
 イオンは野菜の集配基地がある千葉県を起点とした関東各地の生産ネットワークを作ることを目的にしています。千葉から新潟までも配送圏に入り、栽培から配送までの時間コストの短縮も大きな課題で、高速道路網のインター付近の農地を探しています。イオンとしては、遊休農地はいくらでもほしい、というのが本心だと思います。
 日高市では、農地関係行政は県から担当者が出向で来て担当しております。埼玉県は遊休農地解消を農業政策の太い柱にしており、埼玉県農林公社は県の実動部隊です。日高市は県公社と連携して企業の農業参入を推進してきた結果、平成21年度からのイオンアグリ創造の誘致に成功したわけです。賃借の締結期間は平成23年10月1日〜平成29年9月30日(6年間)。
 農場の場所は、日高市の北東のはずれ、坂戸市との市境近くです。田波目交差点を坂戸市方向へ向かって200メートルくらいの所。某日、行ってきました。
 担当者I氏と話しました。幕張本社でネクタイ締めた販売担当だった氏は、会社の農業参入にかねてよりの希望を重ねて志願し、日高市で野菜栽培に従事する“農民”となりました。(続く)

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