母のデイサービスと私のインターネット


 母がデイサービスの余興で作ったもの。壁に毎回の作品を貼っていく。
 デイサービスに行くのを嫌っていました。今でもしぶしぶという所かもしれない。自分でやりたいことがたくさんあるので、デイサービスの“無為な”時間の経過がいやだという。

 10月に母は95歳になり、私は65歳になった。「成田山の暦」を見ながら、自分は95歳ではなく96歳だと言っている。96歳の身体の弱りは認識しながらも、頭は96歳ではない、まだまだと言う意識があります。
「どうして、こんなに年とっちゃったんだろう」
「自然の法則だよ」「生き物はみな消滅する。簡単なことだよ」
「そんなことは分かっているよ」「こんなはずじゃ無かった。あれもやりたい。これもやりたい」
「あんまり欲出さないでほしい」「自覚してくれ」
 言ってみれば、母と私の間の基調はこんなふうです。
 一昨年まではゲートボールに興じ地元の老人と丁々発止のやりとりをしていた。野草の植え替え中、大きな鉢を持ちあげた際に腰を骨折し、数か月入院し、退院後は歩く力がめっきり弱り、自分で出歩くことはなくなった。それ以来、母親の世話をすることが私の日課となりました。
 歩けないながらも頭はクリア、介護認定は1レベルです。
 顔を洗った水は鉢植えの水やり用にとっておき、コンセントは必ず抜き、私が小さい頃のものや自分の嫁入り時の台所用具を使っているという、ものを大事にする意識は半端なものではない。
 ぼけないでいてくれることは、子どもにとっては本当に有難いこと。このまま年を重ねてほしいと思うのですが、こちらにも自然の法則は迫ってくる。
 65歳の自覚はない、どころか頭も身体も40代だと勝手な思い込みをしているところは、母と同じか。誰でもそうかもしれない。気が付いてみれば……である。
 時間がスピードを上げて逃げていくような気がします。母の部屋でこんにゃく問答をしている暇はない。
 ようやく母の部屋にネット回線が通じました。団地だから建物までは光ファイバー、部屋の先端は銅線です。そのせいか、やはりインターネットが遅い感じがします。
 ネットの契約と抱き合わせに携帯PCを購入。安かった。1万円台。台湾メーカー、アスースネットブックEeePC。タテヨコ20センチ以内だからカバンの中に入れて持ち歩き用とし、カバンに入れるには大きすぎた富士通のFMVは母の部屋での設置PCとしました。これでネット環境の整備完了。
 これで何が変わるか。ポンコツ農機具買い漁りの自己満足と同じかもしれない。しかし、ワイマックス装備のEeePCはいい。ファーストフードやどこででも接続できる便利さは絶大です。