山並みを望見して

 地区の体育祭前日、自治会の役員として準備に参加しました。小学校での準備作業が終わった午後の後半の時間。久し振りの夏日の到来で暑かったのですが、空気が澄んで秋の気配が感じられました。学校敷地内のタイヤキ山頂上に上がり、遠くの山並みを望見、久しぶりに視線をはるか彼方に合わせる心地よさを感じました。
 そして、思い出したこと、いくつか。

 太陽に向かって撮った写真、撮影の技術不足で、陽光に輝く感じが白っぽくなってしまいました。真ん中の山を見て、全く当てずっぽうの感覚なのですが、あれは奥多摩の川乗山だと思いました。ずーっと昔、二十歳前後のころ、沢登りに関心を持って地図を眺めていたときの目標の山でした。登山案内の解説にあった「上級者向き」という言葉が浮かびます。

 中央に少し頭を見せる二つの山。左が甲武信岳、右が武甲山です。19歳のとき、友人と二人で甲武信岳に登ったことがあります。これも「上級者向き」とされていた山梨県側の東沢ルートからです。
 いま思えば全くの無謀登山でした。夜8時ころ、甲武信小屋に着いたのですが、ふらふらになって着いた二人のガキを見て、小屋の主は呆れながら言いました。「よくまぁ、登ってきたなぁ」と。暗闇の中でカレーを作って食べました。
 距離も長く滝が連続するので技術が必要とされるコースですが、怖いもの知らずでした。滑り止めのわらじを履いて深い滝をトラバースした恐怖はよく覚えています。滑れば一貫の終わり。危なっかしい姿勢の友人を怒鳴りつけながらの横断でした。その友人も等の昔に亡くなってしまいました。 

 奥武蔵の山塊。真ん中の谷の奥に結構大きな滝があります。

 日和田から物見山に続く山並み。武蔵台に越してきて暫くはクルマを持たない生活で、近くの山をよく歩きました。この写真にある尾根と谷は大体歩いています。尾根から尾根へ道のない薮をこいでいくと思いがけない景色に出合うことがあります。良質の粘土がとれる沢もあります。

 娘が5歳の時に植えた校庭の桜。建設されたばかりで赤土だけの殺風景なグラウンドに、学校の許可を貰って植えた20本の生き残りです。