グーグルストリートビュー:そのすごさと危険性

 グーグルのストリートビューが問題になっています。ストリートビューというのは、グーグル地図を開いた画面にある表示をクリックすると、あたかもそこに立っているかのような視線の移動に伴う視野画面の移動が可能となる仕掛けのことです。
 これはすごいです。マウスで上下左右の視野が近接・遠望いずれも可能で360度の視野が見られます。インターネットでこんなことも可能になるんだ、と本当に感心してしまいます。全国の12の都市でサービスが行われているそうですが、日高市では1か所、見られます。巾着田の新井家前の国道からのストリートビューです。地図を張り付けるとビューが出ないので、「日高市高麗本郷245」と地図に入力し検索して画面を出せば出ます。試して見てください。
 これはマーケティングなどビジネス上の用途が多方面にあるそうです。不動産会社の現地案内や引っ越し会社の下見など。確かに合理化に貢献しそうです。
 ところが、個人宅の門からベランダからとにかく外観や外に出ているものが全てまるみえになってしまうのです。実際に道路上であれば、立ち止まってじっと視線を固定させて見るのはなかなかできませんが、画面上では可能です。
 ストリートビューの威力が高ければそれだけ個人宅のプライバシーが脅かされる可能性が高い。洗濯物の種類や色までバッチリ映ってしまうからです。これに関して40件位の苦情があったそうです。それはそうでしょう。こんな気分悪いことはないと思います。四六時中、画面にさらされていると思うと、落ち着いてお茶も飲んでいられない。というわけで、弁護士会がサービス中止を求めたり、自治体でもその動きがあるそうです。
 PCの前に座りながらの現地探訪の臨場感、擬似体験。いや、そんな言葉での表現では不十分、何と言ったらいいか、魔法の空間移動とも言うべきか。かつて行ったことのある場所の再体験にはいいかもしれないが、使いようによってはのぞき見趣味を刺激することになるかもしれない。
 グーグル地図は、私たちに「鳥の目」を持たせてくれるいいものだ、と前に書きました。しかし、地上の視線そのものになってしまうんでは、その先に人間の俗物が現れるのは当然です。
 グーグルは、苦情によって削除したりの対応をとると言っています。