「横手台・永田台・武蔵台の住環境を良くする会」の市長への質問と回答

 「横手台・永田台・武蔵台の住環境を良くする会」は、昨年12月22日「横手台団地内の温浴施設建設計画に伴う都市計画の変更に関する行政手続きについての質問」を大沢市長に提出しました。
 この質問書は、小学校用地に関わる今までの経緯と今回の温浴施設建設計画が浮上した背景をできるだけ正確に踏まえた上で、各当事者がとった行動に問題があることを指摘し、住民の福祉と健康を保証する地区計画を守ることを求めたものです。
 この質問書作成のために会事務局スタッフは多くの時間を費やし、あらゆる角度から検討してきました。この質問に会の主張と考え方が全て込められています。また小学校用地が本来は、無償提供されて公共用地となる単純な構造が3つの取引条件に変質することも明らかにしています。多くの住民が、温浴施設がこのような取引のうえの結果であることをしりません。そういう状況を認める行政判断は誤りであることを指摘し、市の見解を求めたものです。
 これに対し市は1月14日付の回答を寄せてきました。質問状と併せて掲載します。回答は、質問に真正面から答えたものとは言えず、再度より質問に即した回答を求めて会談を申し入れました。市は2月12日に企画財政部、都市計画部が出席して応対することを決定、会との対話が実現します。

市長への質問

日高市
  大沢 幸夫 様  
        
横手台団地内小学校用地内の温浴施設建設計画に伴う都市計画の変更に関する行政手続きについての質問

 横手台団地内小学校用地内の温浴施設建設計画に伴う都市計画の変更の行政手続きは、横手台自治会が本年8月7日付けで貴職宛に「要望書」を提出した後、企画財政部の下で進められていると推察致します。
当該用地の都市計画の変更は、日高市横手台団地、同武蔵台団地及び飯能市永田台団地の住環境に多大な影響を与えることが予想されるため、この行政手続きが公正かつ公明に行われ、関係住民の総意の下に進展することを願っています。
この趣旨をご理解の上、この行政手続きに関連した次の質問に対する回答をいただきたく、よろしくお願い申し上げます。

1 「要望書」の取り扱いに関する質問
次の理由により、「要望書」がどのように取り扱われるのかご回答をお願い致します。

(1)日高市議会だより(20.12.1)によると、市は「都市計画の変更について要望書を受け取っており、土地活用については住民の意向を踏まえ、横手台地区にふさわしい土地利用を図ることが望ましいと考えており、関係機関と調整して早く結論を出したい。」と回答しています。市は、「都市計画の変更」という言葉を使っていますが、実際は横手台自治会臨時総会で、用途地域の変更についてのみを不適切な過程で議決し、会則に則らない賛成数を提示し、更に地区計画の変更については、一切の討議も議決もない状態で要望書が提出されています。この要望書を元に、市が用途地域及び地区計画を含めた都市計画の変更を進めることは、「住民の意向を踏まえない」不適切な行政手続きとなります。

(2)横手台自治会臨時総会では、「旧小学校建設予定地の利活用に伴う用途地域変更について」を議題としましたが、臨時総会の進行は、用途地域変更の利点を説明することに終始し、用途地域変更の具体的な内容、不利益、悪影響に関する討議に進展しない状態で強引に採決されました。用途地域の変更を肯定した自治会主導による討議及び採決過程は公平さを欠き、民主的な総会運営とは程遠いものでした。

(3)臨時総会の議題に「地区計画の変更」が含まれていません。温浴施設建設には、用途地域の変更と併せて地区計画の変更が必要になります。横手台
自治会は、地区計画の変更については、議題に取り上げることもなく、討議もされていません。地区計画は、住民の住環境を守るために日高市が制定したものであり、その変更は、住民の正しい理解とその総意に基づいて、行政手続きが進められるべきです。

(4)「要望書」に記載されている「賛成総数578票」は、日高市が地縁団体として認可した横手台自治会会則に則らない数値を提示しています。議決は成立していますが、委任状を含めない「賛成総数92」が正しい数値であり、自治会員全体の66%を表しているものではありません。
   (横手台自治会則第14条「議決の方法」)

2 住民の合意形成に関する質問
次の理由により、小学校用地の用途地域及び地区計画の変更の際に、行政が行うべき住民の合意形成のあり方についてご回答をお願い致します。

(1)小学校用地に関わる都市計画の変更は、日高市横手台団地、同武蔵台団地及び飯能市永田台団地のそれぞれの地区計画により、閑静な住宅地として整備されてきた三団地の住民、約1万人の住環境に多大な影響を与えると予想されます。
更に、日高市横手台団地と飯能市永田台団地は、行政区分は異なっていますが、西武飯能日高団地地区地区計画によって一元的に整備されています。通常、都市計画の変更の際には、行政区分に従い、案の縦覧、意見書の収集、公聴会の開催等の手続きを採ると思います。しかし、今回の手続きについては、日高市が一方的に進めるのではなく、飯能市と協議の上、連携して広く関係住民の総意を確認しながら進める必要があると考えます。

(2)西武飯能日高団地地区地区計画には、住民の住環境を守るために、用途地域の規制以上に、建築物に対する厳しい規制があります。地区計画の変更は、住民の正しい理解とその総意の下に実施されるべきあり、そのためには、行政が住民への説明を繰り返し行うべきですが、今回は未だその説明が一度もありません。行政が自ら地区計画変更の具体的な説明を一切せず、行政手続きを進めることがあってはならないことです。行政は具体的な説明を行うとともに、地区計画の変更の際には、住民の合意形成として8割以上の同意を確認すべきです。

(3)本年4月に日高市企画財政部長は、用途地域の変更には、住民の同意が8割必要と横手台自治会役員等に回答しました。その後、企画財政部と横手台自治会長等との協議により、企画財政部は合意形成を自治会の判断に任せるとし、これを受けて、自治会は用途地域の変更を過半数により議決しました。住民の合意形成を自治会へ委任し、過半数で住民の合意形成が可能となることを容認した企画財政部長の判断は不適切です。用途地域の変更に関する住民の合意形成は、本来自治会の議決事項ではなく、行政に説明責任及び住民合意の形成責任があるのではないでしょうか。

(4)現在、日高市では策定委員会が中心となり、まちづくり市民会議の提言を受けて日高市都市計画マスタープランを策定中です。このマスタープランは、緑豊かな自然環境と計画的な市街地環境の調和によるまちづくりの実現を主目的にしています。まちづくり市民会議の「武蔵台・横手台地区のまちづくり」提言の中に、「住宅地として生活に必要な環境の維持・充実」、「小学校用地の有効活用」が述べられています。これは、現行の地区計画の維持を前提としたまちづくりを提言しているものであり、この実現がマスタープランの目的に沿うものと考えます。

3 三者協議会合意事項に関する質問
次の理由により、三者協議会合意事項の存在有無、その合意事項と平成13年に市議会において採択された「請願」との関連性についてご回答をお願い致します。
 平成13年に日高市議会が「西武飯能日高団地内小学校用地の日高市への早期帰属実現を求める請願」を採択し、これを受けて、日高市西武鉄道及び横手台自治会は、小学校用地の活用について協議を重ねています。
平成20年度横手台自治会総会資料には、協議結果として、小学校建設予定地の事業化、林間住宅地の課税対象区の変更、「複合コミュニティーセンター」の提供等が述べられています。この協議結果は、日高市議会が採択した「請願」及び日高市西武鉄道と締結した「公共施設の管理に関する協議書」に基づかない内容であり、これにより行政手続きを進めることは、行政自らが市議会の権威を否定するとともに、日高市が自ら締結した協議書を反古にすることになります。
また、三者協議会合意事項の内容を示す文書が行政側に存在するのであれば、その文書の開示を求めます。
  平成20年12月22日
横手台・永田台・武蔵台の住環境を良くする会
会長 石坂孝一(日高市横手2-3-5、042-982-3238)
(兼横手台地区代表)                           
永田台地区代表 長谷川伸一(飯能市永田台2-2-1、042-974-6177)
武蔵台地区代表  横山秀男(日高市武蔵台1-11-1、042-982-0369)

市長の回答

 横手台・永田台・武蔵台の住環境を良くする会
 会 長   石 坂 孝 一          様


日高市長 大沢幸夫


   横手台団地内小学校用地内の温浴施設建設計画に伴う都市計画の
   変更に関する行政手続きについての回答について


 新春の候、貴職におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
 日頃より日高市行政にご協力をいただきありがとうございます。
 平成20年12月22日付けでいただきました上記の件につきまして回答いたします。
 まず、ご質問いただいております横手台団地地内の小学校建設予定地の温浴施設建設計
画におきましては、具体的な事業計画については市に提出されておりませんので、現在の
ところ当該地区の都市計画の変更予定はございません。
 一点目の要望書の取り扱いに関するご質問についてですが、自治会の臨時総会の内容に
つきましては把握しておりませんが、要望書は自治会の意見として受領いたしました。
 二点目に住民の合意形成に関するご質問ですが、用途地域等の都市計画を変更する場合
には、法令の定めに基づき都市計画の案の内容等を周知し、広く意見を聞きながら進めた
いと考えております。
 三点目の三者協議会事項に関するご質問ですが、自治会、西武鉄道、市の三者で小学校
建設予定地の活用について協議してまいりました。具体的な土地活用が決まりましたら協
力したいと考えております。
 また、請願等に関しましては、市としては児童教の減少、末就学児童の推移等から小学
校の建設はしない旨を過日、議会に説明させていただきました。今後は公共施設の管理に
関する協議書内の教育施設について、見直しを検討してまいりたいと考えております。