40年経って減反ついに見直しへ

  畑にいると、この季節にだけやってくる鳥がいます。この鳥は何という取りでしょうか。しゃがんで菜っ葉をとっていると、いつも背中の近くで小さくシュンシュンと鳴く声が近付いてきます。ほんの近くまで寄ってきたのを感じると、そうっと後ろを見ると、1m近くにいます。木の枝やコンテナの淵やそこら辺をさっさっと移動します。

 この鳥はジョウビタキです。逃げるのではなく近寄ってくるから人懐こい感じです。「シベリア南部や中国北部で繁殖し、冬鳥として日本各地に飛来する。スズメ大の小鳥で山麓から平地の村落や明るい雑木林を好み、時には人家の生垣や庭木にも姿を現す」(『日高町史自然史編』下の写真も)

 今年は、いよいよ減反政策の本格的な見直しが行われるようです。年頭の挨拶で石波農水相が明らかにしました。去年もその前の年にも政府内部から見直しを、という声がアドバルーン的にあがっていましたが、今回は大臣自らの発表であって本気です。
 1月5日の年頭の記者会見で発表されましたが、記者の質問は全部で12回。そのうち9回が減反に関する質問でしたから、記者にとっても、すわ、という感じで手ぐすね引いて待ちかまえていたという感じです。繰り返し繰り返し、いろいろな角度から質問を重ね、何か言質を引っ張り出そうとします。
 大臣は、こんなことを発言しました。
 「自給力を強化したいと思っております。これがとにかく第一。困難な世界の食料情勢の中にあって、世界最大の純輸入国であるということに、もう一度強い問題意識を持ちたい」
 「経営所得安定対策、あるいは法人化等々によって、経営の育成をきちんと図りたい。そして、今国会に法案を提出したい農地政策の改革、そして水田のフル活用を図ることにより、飼料用米、米粉米等、新規需要米の生産を拡大をする、あるいは、麦や大豆の生産にも配慮したい」
 「真面目に生産調整に取り組んできた人、そして、そこにおいて大変な努力をしてきた関係の方々、そういう方々の努力には、きちんと報いなければいけない」
 「(平成)21年産から、水田のフル活用政策にまず取り組んでいく。これが、どれぐらいきちんと実現をするかということ、この状況を見ながら、コメ政策、あるいは水田農業政策の在り方というものを、全ての角度から抜本的に検討をしていく」
 減反が始まって40年、7兆円のお金をつぎ込んできた結果が、自給率40%、耕作放棄地が埼玉県と同じ広さ、農業人口335万人の6割が65歳以上で後継者なし――この現実が変わっていく可能性が出てくるのか。この動向を追跡していきます。
 減反は、日高市のような水田が少ない畑作中心地帯でも例外ではありません。しっかりとその網の目に組み込まれ、国家の減収作戦に地域のお金が費消され、資源の使い方が左右される仕組みががっちりと作られています。その実態は、市民の目に触れることは決してありません。それも明らかにしていきたいと思います。
 減反政策の転換が兆しが出てきた時、地方ではこんな声もあります。
 「耕作放棄された農地はそもそも国による厳しい減反政策と転作奨励が生み出したものである。稲作は水田と用水路のつながりによる有機的な結びつきが命で、放棄地はその結びつきを途切れさせ、残された田んぼの水利を悪くする。これでは稲作を続けようとする農民はいなくなる。また土地に馴染まない作物への転作はうまくいかないことが多い。こんな施策が意欲を失った農民を作りだし、離農を促進した。
 減反で金をばらまき、転作で金をばらまき、今回はまた放棄農地再生で金をばらまく。場当たり的な施策による税金の無駄遣いを気に掛けない農政官僚の無責任さにはほとほと愛想が尽きる」(朝日新聞読者の声)