自称“自給農家”の大豆作りと自給率

  昨年11月に刈り取りを行い、掘っ立て小屋の中に置いてあった大豆の殻むきをしました。作業が遅くなった分、その間にすっかり乾燥してパリパリになっています。この乾き具合から、足で踏み潰すことを思い付きました。以前は、軽トラで何度も踏みつぶしたりしましたが、きれいに実が落ちず、苦労しました。昔は、くるり棒と言って、遠心力を使って振り下ろす棒で豆殻をつぶしていました。
 大豆は畑のタンパク質、自給農家のシンボル的作物です。みそ、しょうゆの基本調味料の原料で、今でもみそ造りは行われています。自称“自給農家”としては、大豆は作らなければなりません。私も、みそ用です。

手間はかかるが手前みその楽しみ

 今年は、昨年みそづくり用に買った大豆を残してあったので、種類も産地も分かりませんがそれを撒きました。大豆は、成長し始めた時に雑草取りと土寄せを行うことと、豆が膨らみ始めた時に消毒をすること、この二つが重要な作業となりますが、私はいずれもやりません。畝の間に草が茂ってきた時に、数回、草刈機で草刈をするだけです。大豆が草に負けない程度に草を刈ればいいのですが、秋には草ボーボーとなってしまいます。それでも草の中で、大豆はしっかりと実をつけました。

 殻むきは、踏みつぶすと、思った通り殻からの豆落ちがいい。ブルーシートの囲いの中でバリバリと踏みつぶす。それでも踏みつぶすだけで2,3日はかかりました。その後は、ふるいでの第一回目の選別です。今年初登場の自作のふるい。大豆の直径より少し大きい目の網を買ってきて四角いふるいを作りました。これが実に具合がよかった。残渣の大きな殻や茎がこれでとれました。

 次は、唐箕(とうみ)による選別です。とうみは、昔ながらの風による選別機で、現在でも使われています。最近のものは、手ではなくモーターで羽根を回す仕組みになっていますが、構造は全く同じです。写真にある私のとうみは、ネットで1000円で買いました。小型で、つくりもしっかりしていて、これは掘出し物でした。しかも狭山の農家の出品で直接取りに行き、送料も節約できました。先ほどのふるいで選別した後の大豆と細かいごみやほこりが混ざったものをとうみに入れ、羽根を回して風で選別します。これを3回繰り返して、ざるの中にある大豆となりました。


 消毒をしないと虫食いが多くなり、大豆としての形や色を成していないものが多いのは一目瞭然です。実際、消毒をすると色も形もとてもきれいな、見た目商品価値が高い豆ができますが、無農薬派としては、虫食いは仕方がありません。
 最後の関門は、これを取り除くことです。自家用としては大雑把でいいのですが、販売農家はそうはいきません。形や色にこだわる消費者の要望に応える必要があり、この選別に高価な設備が要ります。自家用としてはお盆の上に豆を並べてくず大豆を落としていき選別します。こんなに手間をかけても自家用大豆を栽培するのは、手前みそのうまさを味わえるからです。それに栄養価の高さはピカイチ、価値ある食品です。

大豆はやはり偉い!

 国産大豆の優れている点を、農水省は次のように宣伝しています。以下は農水省の大豆のHPから。
○国産大豆の主な成分は、多い順に(1)タンパク質(35%)、(2)炭水化物(28%)、(3)脂質(9%)、(4)水分(13%)、(5)灰分(5%)。 大豆は、総コレステロールを低下させる大豆レシチンビフィズス菌増殖作用があるオリゴ糖、抗脂血、抗酸化、抗コレステロール作用のある大豆サポニン骨粗鬆症の予防や細胞のガン化を抑制するといわれるイソフラボン等多くの機能性物質を有している。
○大豆(味噌・醤油含む)の一日当たりタンパク質供給量は、穀類(20.6g)、水産物(20.g)、肉類(13.9g)、に次ぐ4位。以下牛乳乳製品(8.2g)、鶏卵(5.6g)。100gに含まれるタンパク質量は、35%(国産大豆)と和牛(18%)、鶏卵(12%)、普通牛乳(3%)などに比べ高い。
○国産大豆の品質面での優位性とは?
A.  豆腐 : 国産大豆は収斂味(しびれるような感覚)が少なく、色が白い。北海道産は風味がよい。
 煮豆 : 国産品は、風味と安心感があります。国産品は、水分含量が高いので、風味を損なわない。
 納豆 : 糖質の高い、油分の少ない大豆を使うことにより、納豆の味がよくなる。
 味噌 : 国産は、蒸したときにふっくらしており、味・風味の良い味噌ができる。

 改めて、大豆の偉さを知って驚きます。牛肉よりもタンパク質が多い。しかし宣伝されても、口に入らない少ない生産量ではどうしようもないのですが。以前、東北の大豆産地の人が言ってました。自分のところでは、とうふ、なっとうの味が全く違う、うまいと。地方の限られた地域では農水省のいう宣伝も実感あるのかもしれません。

国産大豆のうまさを味わえるために

 日本の大豆の自給率は総合で4%、食用大豆は22%。かつて、大豆の輸入制限に直面して、とうふ、なっとうの値段が高騰したことがありました。何か起これば、それが再現される恐れは十分あります。国も、米から大豆への転作を奨励し、米の減反を進めると同時に、大豆の生産を高めようとしていますが、輸入大豆との3倍の価格差、補助金の問題、機械化のコスト等、国の食糧政策全般に関わるいろいろな問題があって進んでいません。
 それに日本人の趣向として、非遺伝子組み換え大豆と有機大豆を選ぶ傾向があります。世界の大豆生産の流れが遺伝子組換え大豆に向かっている中で、この非遺伝子の確保がこれから難しくなります。また有機大豆も、アメリカ産の輸入ものが98%、スーパーの特売有機なっとう、有機とうふの大豆は全部アメリカ産なのです。
 手間はかかっても自給大豆を地域で作るメリットはありそうです。日高市の大豆生産量は、金額で1000万円。統計的にはこの数字のみ。大豆は60キロが単位ですから、60キロ1万5,000円として約700キロ。みそ用や直売用でこんなものでしょうか。日高で大規模な栽培は見た事はありません。鶴ヶ島では作られています。とうふ屋さんが比較的多いから、日高の人はうまいとうふを食べる機会は多い?

記事2本を消してしまった、残念!

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