NHK『日本海軍 400時間の反省――海軍あって国家なし――』

夜中の12時すぎ。付けたままにしていたテレビからこんな言葉が流れました。
 「日本海軍の軍令部将校が参加しての反省会……」
 「なぜ戦争を始めたのか」
 テレビは、私が向かう机の斜め後ろにあります。思わず振り向きました。NHKテレビです。
 私は反射的に思いました。あっ、これは以前書いた記事「戦争の証言」(http://d.hatena.ne.jp/hideoyok/20090814/p1)の中で触れた、「反省会」のことだな、と。あの時は、反省の対象が「特攻」でした。しかし、今日の放送で分かったことですが、3回連続の番組であるという。今日は冬野菜の準備のために相当動いて疲れていたし、寝る時間でもあったが、見ることにしました。
 『日本海軍 400時間の反省――海軍なって国家なし――』
 昭和55年から平成3年まで、海軍中将から大尉まで40人が参加し、月に1回3時間の“反省会”が開かれました。その回数は約130回、400時間に及ぶ話が225巻のテープに録音され、それが参加者の一人が所蔵していました。「同じ間違いを繰り返さない」ために行われた反省会でしたが、その意志は非公開でした。
 NHKが今回初めて放送。3回放送の最初の今回は「軍令部」。私が8月に見たのは、第2回目の「特攻」です。
 戦争や軍備に関する天皇の最高権限が「統帥権」。この立案を行い実質上の意思決定を行って天皇に進言する集団が、海軍軍令部と陸軍の参謀本部です。
 軍令部は10人程の参謀とその部下が、海軍の全作戦を立て実戦部隊を動かしていました。その組織がなぜ戦争への自己回転を始め、歯止めが利かなくなっていったのか。
 軍令部総長の職に9年間も同じ人間が就いており、しかも皇族であったこと。この組織上の布陣に影響されて、軍令部権限強化の仕組みが法令化され、軍備・兵力量の決定が統帥権に入れられた。軍縮の足かせがなくなり、軍艦増強に走る。そして戦争態勢準備完了の作文が作られ、天皇に開戦の進言が行われた。そしてミッドウェー作戦を認めた無責任体制――
 歴史書には書かれていない軍令部内組織の機微が証言されます。
 結局、海軍軍令部とは何だったのか。証言を総括したアナウンサーの言葉。
 タテ割りセクショナリズム
 隠ぺい体質
 意見が言えない雰囲気
 責任のあいまいさ
 何だ、これは、現代社会の組織の問題ではないか、と思ってしまうほど、心当たりのある言葉が並んでいます。一般的に、官の体質を表現する言葉が多いですが、官民も含めて見渡せば周囲の組織はこの病に陥っていくように見えます。組織と人間の関係は、時代が変わっても私たちが直面する普遍的テーマです。