まごの成長

 まごがやって来た。1人は1年ぶり、もう1人は半年ぶりの来宅です。前回来たときの写真があるが、成長振りはどうなのであろうか。一般的には「早い」というのが普通です。しかし、息子の嫁さん、娘の育児を見ていると、あれだけの手間を掛けての育児です。その結果、これだけの成長なのかと思えば、ゆっくりだなという感じでもあります。
 正月のテレビ定番の動物ものを見ていると、必ず草食哺乳類の出産シーンが出ます。シマウマでも何でも、産み落とすと同時に、母親のぺろりの一舐めで子どもはすっくと立ち上がる。そうしないと、肉食獣の餌にされてしまうからです。敵から身を守る条件を生まれながらに備えている。あの映像には、何回見ても感心してしまいます。
 自然の主(ぬし)は、知恵・想像力を人間だけに与えた代わりに、手間の掛かる子育てというおきてを課したんだと、つくづく思わざるを得ません。常識的な誰でも思いつく感想に過ぎませんが、この辺のことは動物学的、生態学的にいろいろ専門的な理屈はあるのだろうと思います。
 1年前、まご達はみのむしの如く、ころんところがったままだった。いま、ようやくよちよちと歩き始めた。1年もかかってである。母親が動物の本能と人間の知恵ををもって育てて、ようやくこの状態です。この後、何年も手厚い庇護の下で成長していき、大人となるのに十数年を要する。
 この子供が育っていく速さが、人間の本来的に備わった生活のスピードなのかもしれない。とすれば、子どもを育てることだけは、急がずゆっくりと効率を求めず点数で判断せず、という価値観が出てきます。
 子どもを社会で育てる、ということも昨今言われますが、金銭的付与だけがそうなのだろうかと疑問に思います。親子がいっしょにいられる時間を長くすることが一番必要なのではないか。