新著に感激

守誠さんから、最近出版した本が送られてきました。
 『ユダヤ人とダイヤモンド』(幻冬舎新書、800円+税)です。昨年末から今年初めにかけてホテルに缶詰めになって最後の追い込み中との話は聞いていました。ようやくの出版おめでとうございます。

 帯に「三流の石は、いかにして“宝石の王”となったか? いま暴かれるユダヤとダイヤの危険な関係」とあります。この本の内容は非常に多岐にわたり一口で説明するのはむずかしい。目次から全体像が掴めます。
1章 シェイクスピアが歪めたユダヤ人像
2章 毒ガスマスクとダイヤモンド
3章 中世、ダイヤモンドは三流の石だった
4章 ダイヤモンドのカットの歴史は捏造されていた
5章 ディアスボアラを支えた一粒のダイヤモンド
6章 ユダヤ系金融資本ロスチャイルドの裏切り
7章 ダイヤモンド王オッペンハイマーの改宗
8章 ナチス・ドイツのダイヤモンド略奪大作戦
9章 ユダヤ人とインド人のダイヤモンド戦争
10章 ユダヤ人とデビアス社の微妙な関係
 守さんは、この本を書くために30年間取材を続けました。国内には情報が全くありません。旧ソ連、ヨーロッパ、中東、南アフリカ、インドなど、各地の主要都市数十か所、すべて自費での取材でした。これが可能となったのは、100万部を超すベストセラーとなった本の印税だということを聞いたことがあります。講談社文庫として出版した英語に関する本3冊がそれです。
 世界歴史の裏面史ともいうべきダイヤモンドとユダヤ人の複雑な関係について初めて書かれた本です。守さんの飽くことなき追究の成果は、この本に書かれただけの内容ではありません。利用された取材結果は1パーセントにも満たず、膨大な資料は眠っています。
 ダイヤモンドの採掘をめぐる過酷な歴史とパレスチナの和平について書くことが残されているとのこと。1冊にまとめられることが望まれます。
 原稿用紙の入ったリュックを背負い、歩くことを主義としている守さん、とても77歳とは思えない。商社での経験をもとに書かれた若き頃の本『華麗なる窓際族』で描かれた不屈の精神と行動力、もう一度外国の大学に入って学びたいという旺盛な知的精神。私も学んでいきたい。