国の補正予算

9日に閣議決定された補正予算は、12月27日に閣議決定された「地方への好循環拡大に策向けた緊急経済対策」に基づいて編成されたものです。
毎年、大型の補正予算が政権による様々な口実をもって実施され、市もそれに対応した事業編成を行って予算を取りにいくわけですが、昨年は、膨大な額の公共事業でした。市も、耐震化等の工事の前倒しを行って、補正と当初合わせて“史上最大の”大盤振る舞いの予算を執行することになったわけです。
さて、今年はどんな口実か。閣議決定によると、こんな内容です。

「景気は緩やかな回復基調が続いているものの、個人消費等に弱 さがみられます。また、人口減・高齢化やグローバル化への対応の遅れなどの中長期的な課題を抱える地方においては、経済の好循環の実現が十分には進展していません。……経済の脆弱な部分に的を絞り、かつスピード感をもって対応を行うことで、経済の好循環を確かなものとするとともに、地方にアベノミクスの成果を広く行き渡らせることを目指します」

株価上昇だけで、国民や地方が実感し得ない経済回復を、あまねく行き渡らせようとするもので、消費喚起、地方活性化、災害復旧等の緊急対応や復興加速化の3点からです。その総額が、3兆5,289億円。
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1 現下の経済情勢等を踏まえた生活者・事業者への支援            1兆2,054億円
2 地方が直面する構造的課題等への実効ある取組を通じた地方の活性化       5,813億円
3 災害復旧・復興加速化など災害・危機等への対応              1兆7,422億円
地方交付税交付金の増             9,538億円
・その他追加財政需要              4,463億円
・財源は税収、税外収入、前年度剰余金等で確保。
・平成18年度補正予算以来の新規国債発行額の減額 7,571億円
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各省庁がこの際とばかりに繰り出した約60くらいの事業がありますが、その中でも桁違いの大型の交付金が2種類あり、どうやら、これが中心となる事業のようです。その2つとは、
1の「現下の経済情勢等を踏まえた生活者・事業者への支援」の中の「地域消費喚起・生活支援」という範疇に入る
◎「地域住民生活等緊急支援のための交付金」(仮称:地域消費喚起・生活支援型):2500億円
2の「地方が直面する構造的課題等への実効ある取組を通じた地方の活性化」の中の「まち・ひと・しごとの創生に向けた総合戦略の先行的実施」の中の
◎「地域住民生活等緊急支援のための交付金」(仮称:地方創生先行型):1700億円
1の地域消費喚起・生活支援型交付金2500億円は、いわゆる商品券やふるさと名物商品券及び旅行券など、個人の消費につながるもの。とにかく消費があがるよう金券をばらまく政策です。事例や手法などメニューも豊富に示されており、速攻、申請が可能なように用意されています。
こういう一時的な消費喚起で底堅い消費の呼び水になるのかどうか。目先の景気良さの気分を出せばいい、という感じです。日高市はどんな商品券となるのか?
2の地方創生先行型1700億円は、地域再生計画の地方版総合戦略を市町村が策定することが前提です。これは、平成27年度中に策定する5年計画の、いわば前渡し金のようなものです。これも市町村にとってはやっかいな代物ではないだろうか。現行の総合計画があるのに、屋上屋を重ねて人口減少、地方消滅に対抗する5年計画をつくれ、というわけですから。策定すれば交付金を前渡しでくれる、という訳です。
目先の景況をよくし、さらに地方の景気回復につながる考えられるすべてのポイントにお金を投入していこうという考えです。全国の都道府県、市町村は、ありったけの知恵を絞り、計画を策定することになります。実施計画の中の事業をピックアップして再構成するのかもしれませ。市の計画はどんなものになるのか。東京圏に属する日高市の場合、人口減少、地域経済縮小の克服という再生総合戦略の考え方とは異なった軸で考える必用があるのかもしれません。目先の景気回復にとらわれない、独自の視点からのしっかりした計画が必用です。