児童福祉審議会

昨日の児童福祉審議会では、子ども・子育て支援事業計画の骨格になる支援事業の量の見込みと提供体制の確保の内容が明らかになりました。
0歳児の場合、保育を必用とする可能性があるニーズ量の数値が当初調査より多く設定されています。これは、実績で考えれば児童数に対して保育所利用児童数は11.6%と低いのだが、実際は、育児休業制度があっても利用しないで勤務する場合が全国的傾向としてあり、ニーズの実態としては多くなると見たものです。その比率は、児童数に対して45.5%。
しかし、である。常に思うのだが、根柢の、本質的な問題はここにあると思うのです。

育児休業制度を利用しない結果としての保育ニーズの増大
            ↓………………<政権の講じる対策>
        ○保育制度、施設の対策

育児休業制度の利用を国としては進めるべきなのに、働かざるを得ない状況を保育制度の所与の条件として固定させてしまうことになるのではないか。国全体の労働環境の底上げが必用なのに、金銭的、サービス的制度の底上げによる帳尻合わせになってしまう。子ども・子育て支援事業計画について調べていると、こういう思いを抱きます。
それはともかく、修正された「量の見込み」と「確保方策」の案が示されました。特に課題が大きい「3号認定」について見ると。3号認定とは、親の就労等で保育を必用とする子どもで3歳未満(0歳児と1、2歳児の2類型)の場合。
■0歳児、3号認定の場合――認定こども園及び保育園+地域型保育事業

保育を必用とする子どもの量の見込みを多く推計したためもあって、平成27年度、28年度に、量の見込みに対して確保方策が少ない、すなわち施設が足らない状況となっています。これは、育児休業制度を利用できない社会風潮と、制度自体の激変と準備不足からくる現象です。要するに、体制整備が追いついていかない状況だと思います。
これに対して、市はどう対処するのか。
<対策の見通し>
平成28年度:幼稚園1園の認定こども園への移行(保育部分の整備)
       小規模保育事業1施設の新設
・平成29年度:幼稚園2園の認定こども園への移行(保育部分を整備)
       小規模保育事業1施設の新設
この2年間の対策で施設不足を解消させる(29年度にマイナスからプラスに転じている)という計画です。
しかし、これはあくまでも見通しであって、必ずこうなるというものではない。市は国の意向のもとの移行の感触を現幼稚園から得ているのかもしれないが、移行はあくまでも幼稚園の自由意志です。7月に実施した政府調査では、移行希望は、回答数6805園の22.1%だった(朝日新聞)。幼稚園は、本当に悩み多き選択だと思う。経営面の不確定要素や実際の保育・教育面での施設や人材の補充等で目途が立たない状況ではないか。
また小規模保育事業については、もっと不確実性があるのではないか。現行の認可外保育所が移行するのかどうか、あるいは企業の参入があるのかどうか。あったとしても、人材、施設面や3歳以降の保育への連続性等で、認可保育園との格差、環境の差が生じてしまう制度となっています。
■1〜2歳児、3号認定の場合――認定こども園及び保育園+地域型保育事業

1、2歳児の場合も、平成27年度で保育の量の見込みに対して施設不足が生じています。説明によると、「入所保留」があることを前提とした施設不足ということだが、<認定こども園及び保育園+地域型保育事業>の3形態の施設比較での矛盾があることが分かります。
いずれの場合も、人口減による漸減と施設整備の拡大によって施設の余裕度は上がっていくのですが、現実は、制度や統計数字では表せません。個々の家族、子どもが制度の激変で翻弄されるケースもあり得るわけです。
当面の待機状況を解消するために、なぜ、これだけ複雑怪奇な制度にするのか。教育や保育に国のお金をかけない算段をするために、精緻な政官コントロールの仕組みを作る意図とも考えられる。その仕組みの中で、どれだけ市町村は独自の努力が可能か問われるところです。