ごみ有料化に向けて答申、しかし実現は新市長次第

 3月22日に、日高市廃棄物減量等推進審議会で、「家庭系可燃ごみの有料化に係わる方針について」の答申がでました。全員協議会にこの答申全文が配布されました。
 市のHPには、答申を出した審議会議事録と記者発表は出ていますが、答申本文は掲載されていないようです。答申は本文と3ページから成る別紙から構成されています。本文と1枚目を掲載します。1枚目に有料化の根拠が挙げられており、一番重要な所で、後の2枚は有料システムの具体的内容です。
 なぜ有料化するのか、市民になぜ負担を求めるのか、何と言っても、この理由のところが肝心です。私の議会一般質問でも、そこについては、もう既に何度か答弁されていて明らかですが、今回の答申の内容も市の言う理由の繰り返しです。
 ここでは簡単にあげておきます。
1 国が進めているから、という理由。
 日高市としては、珍しく「国の方針として……」という理由を挙げています。各種行政計画の策定で他自治体の後塵を拝することが多い日高市としては、国の指針に沿って「率先して」という姿勢は今まであまり見られません。しかし、ごみの有料化に関しては、背景、根拠として、この点を強調しています。
 そもそも、国が言っているからやるんだ、という事自体が間違っています。簡単に言えば、こういうことです。
○国は、確かに有料化を指針として出していますが、「ごみの排出量が減っている事実があるので」(こう明言しています)、超高齢化社会に向かう中での有料化は慎重でなければならない、としています。
○条件の違いを無視した我田引水です。国が呼びかけている自治体は、日高市のような一企業に委託している“超特殊な”自治体ではありません。自前の焼却場を持っている自治体が対象で、施設のメンテ、償却、それに厄介な灰の処理という問題を抱えている“普通の”自治体です。
2 アンケートを行って、ごみ減量対策を行ってきた。
 市は、反対と出た平成17年のアンケート結果の分析を行って報告を行うこともありませんでした。アンケートを機に有料化への関心が高まり、市民団体による有料化への自主的な学習会が行われた、としていますが、これも間違い、そういう事実はない。減量対策を行ったとしているが、これも何か突出した対策を行ったわけではなく、通常の啓発であったと思われます。
3 可燃ごみに未だ約15%の紙ごみが混入。
 このことは、太平洋委託当初の「分別しなくても何でもリサイクル化」という、誤った誘導を修正することなく放置してきた結果ではないかと思います。未だに紙の分別、収集に地域、市民の間に解釈の混乱があります。それは、ごみの減量に熱心な市民でさえ、紙の分別について周知がいきわたっていない事実を見ても明らかです。こういう基本的対策でさえ不十分な状況での有料化には、首をかしげざるを得ません。
4 市民の大勢
 有料化が大勢ではありません。どころか、有料化反対が大勢と言ってもいいかもしれません。情報のどこを取ってどこを捨てるかによって、解釈は大きく違います。分別で減量化は可能という市民の声は公平に見て大きい。ここに注目しないで、有料化大勢状況の化粧を施すのは、無理を押しての行政という姿が浮かび上がってきます。
5 行財政改革
 ここが何と言っても一番重要。結論を先に言ってしまえば、
 実のある行財政改革を進めることなく、有料化で市民に負担を課すことがいかに逆転・逆さま状況であるか。これはいくら強調してもし過ぎることはありません。市は、一番痛いところだからここは完全に回避です。

 さて、今後の有料への進め方ですが、条例化への制度設計を行い、9月に議会にかけるとしています。全員協議会では、進めるか否かは、新しい市長の意向を聞いてから決める、としました。